焦げた後に湿った生活

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闘病記24?/帰ってくれ庵野秀明

★本記事には映画「シン・ウルトラマン」の盛大なネタバレが含まれています★

 

わたくしは超絶怒涛ウルトラシリーズファンである。

 

特撮好きな方から、「シン・ウルトラマン楽しみですか?」とか「観る予定ですか?」とか訊かれるたび、毎回このように濁して答えてきた。

「あっ…成田さんデザインをリスペクトした造形はカッコいいですね~…」

なぜなら私は庵野秀明に何一つ期待していないからであり、視聴後、

 

クソがよ。

 

となることが分かりきっていたからだ。

しかし、「庵野が作るウルトラマンなんぞみとうない自分」vs「成田亨デザインのウルトラマンを観たい自分」が殴り合って後者が勝ったため、お師匠を呼んで「観たあと文句言うところまで含めて映画デーにしましょう」と二人で観に行った。お師匠も「文句言うとこまで含めるんやったらエエ、俺も一人やったら観に行きたい思わんわ」ということだった。

 

結果、

 

クソがよ。

 

となってしまった。

エンドロールが終わり立ち上がってシアターを出ていく時、右手が震えていた。壁を殴りたかったからだ。

「センパ…あの…トイレニイッテキマスネ…」とよろめきながら何とか用を足したあと、放火・破壊・何らかの暴力をこの場で放出したい欲を理性で抑えつけ、ほぼ無言で飲食店まで向かい、飲み物食べ物が卓に運ばれてから、

 

「あああああああああああああああああああああああああんなんはああああああああああ!!!!! 私が!!!!! 33年間!!!!! なりたいと!!!!!! 心の底からあれになりたいと願ったものでない!!!!!!」

「認められるかッあんなものッ!!!!!!」

と新宿某所で叫んで机を拳で叩きつけた。近くにいた方々、うるそうてまことに申し訳ございませんでした。

 

庵野、二度とウルトラマンの制作に関わらないでほしい。

以下感想。

 

光の国の戦士がゼットンを使うな

 

正確にはゾーフィもリピアも光の星から来た者であり、このことから本作品はウルトラシリーズの中の一篇というより並行世界の作品かオマージュ作品と捉えた方がよろしいか?

だけどね、おもっきしタイトルに「ウルトラマン」って書いてるわけじゃない?

じゃあやっぱりウルトラマンなんでしょ? 私が憧れ続けているあのウルトラマンたちなんでしょ?

私は性格適正が明らかに悪役、マッド寄り(ENTP/代表キャラクター: JOKER, ヒソカ等)なのに今の今まで善寄りで生きてこられたのは幼少時に初代ウルトラマンを観てその後も沢山シリーズ作品を観てきて「ウルトラマンにならなければ」と決めたからであり、その「ウルトラマン」であるゾーフィが、

地球を滅ぼすことにしたのが許せなかった。しかもゼットンで…

あんなもんバット星人に養殖させときな!!!!! ウルトラマンが使うな!!!!!!!!

 

地球人の自立はどったの?

 

・「ウルトラマン」たちの行動原理がガバガバ

リピアとゾーフィ、どちらもガバガバである。

 

リピア…光の星の掟を破って人間と融合。神永(今作におけるハヤタ・シンのポジション)が自分のせいで死んだというのが融合のきっかけとはいえ、基本的には好奇心や感情で動いている。

人間好きになったらしいけど好きになった理由があんまりわかんない。劇中、寡黙なままなんかズレてる人→実は信頼してた! になってた。

ウルトラマンの知識一切ない人が観たらおもろいんかな? 私には体験し得ないことなのでそこ気になる。

 

ゾーフィ…決まりを守る人、とリピアから評されている割に、てのひらくるくるがヤバい。いきなり現れて、リピアが神永と融合したせいで人間が兵器転用化可能なことがバレたで→そんなもん放置してたら危ないから地球ごと人間滅ぼす と告げてゼットンを起動したくせに、

「ほーん、リピアお前そんな人間好きになったんけ」「人間意外にやるやんおもろいな」モードになるんが速すぎィ!

(冷静にあのシーンを振り返ると決裁権えげつない。一旦光の星に持ち帰って判断とかないんだ笑)

 

「フッおもしれー女」みてえなノリで決めんなボケがよ。

 

地球人の自立はどったの?

 

えっとこの作品の「ウルトラマン」って、「真実と正義と美の化身」から着想得たんですよね?

成田さんって、確か、「ウルトラマン(超人)であるからには性別も何もかも超越した仏さまのようなイメージで…」って語ってませんでしたっけ?

全然超越者でも正義でもなくてワロタ。

 

・帰ってくれ庵野秀明(オジサン)

シン・エヴァンゲリオン観た時に思ったのだが、庵野って女性に過度に幻想を抱きすぎ。

ミサトさん、めちゃエリートなのに「自分には育てる資格がないから」と育児放棄させてるんですよね。現実的なルートとしてはあんだけ高給取りならベビーシッターとか雇うよね。その割にシンジ君のために命捨てさせるんだよね。キモ。

だいたいあの映画、冬月あたりがゲンドウを2,3発ビンタして「バッカモーンお前はシングルファーザー! ちゃんとシンジ君の面倒をみろ!」って叱咤していれば終わった話だよね。

 

そのノリでウルトラマンに来ないで欲しかったわ。

 

いつまでも成長しねえシンジとゲンドウを反復してる人間が、超人の話と人間の自立をテーマにした作品に関わったとき、ちゃんとした解をたたきだせるわけないんですよ。

ていうか樋口もどうした?

 

Zの時は地球人の在り方どうすんの問題、マタギ的な思想をヨウコ先輩を通して語らせてたよね?

今回の畳み方クソ雑すぎて悪い意味でびっくりしちゃった。リピア君、感情と好奇心で動いていて何も道理がない! 地球人自身はこれからどーすんの!

 

女性登場人物の立ち位置クソキモかったしな。

散々言われてるけど、長澤まさみ(浅見弘子)の扱いがひどかった。

だいたい言いたいことはがちおが書いてくれてるけど、

シン・ウルトラマン、観てまいりました|がちお|note

 

同胞である人間から性的消費された浅見に対し、メフィラスが心配りをしデジタルタトゥーを消してくれたものの、動画消されたといっても人々の記憶には残ってるし浅見自身にそういう扱いをされたという記憶も残ってるからね。

あんな切替早く、動画消されたからヤッターオッケーみたいにはならんやろ。

 

巨大化する女性隊員というのは初代にもあるしウルトラマンFから流用したであろう要素もちょこちょこ感じたが、令和にもなって性的消費として見せつけられるのほんまきしょいねん。

ウルトラマンFは素晴らしかったのに…書き手の成熟度の差ですよこれは…

 

(なおお師匠から「限界OLはああいう、丸の内を破壊したい願望があるんか?」と訊かれた。あります。実際再現できるなら、最初の右はジャブで蹴るところはマジの感情を込めたキックになると思う)

 

あと匂いのとこな。

神永-浅見って「バディ」であることを何度も強調されてるけど、全くバディとして成立する理由付けが足りてない。

追跡可能な要素が匂いなのは納得。

でも、不必要にエロかったよね。

あそこに至るまでにバディという関係がきちんと観客に伝えられるような脚本(ホン)だったら、浅見だって「よし、神永さん頼んだよ」ってなるよ。それが同じ方向を向いて解決方法を模索する相棒としての在り方だから。

だけど制作サイドは、はっきり断らないまでも嫌がる浅見の匂いを「ウルトラマン」に嗅がせて、エロいシーンを作ってしまった。

尺の都合上カットしたけどキスシーンもあった、とのことだし、結局浅見の立ち位置をバディではなく、恋愛やエロに使える要素としてしか捉えてない。アナリストである必然性もなかった。

メフィラスが一応、「そんな方法を取るとは!」と怒ってはいたが、あのシーンを成り立たせるには「全然地球人の事を分かってないなウルトラマン! 好きだといっているわりにさぁ!」くらいもっと強烈なツッコミが必要だった。

 

今作、マジでどこが成田の思想を継いだウルトラマンなの?

 

逆にいえばそれまでちょっと可笑しなくらい真顔でどアップばかりだった神永に対して、一瞬で「エッロこのシーン」となったので、斎藤工はすごい。

私、斎藤工どストライクじゃないのに「色気ある…!」と思ったもん。セクシーを愛しセクシーに愛された男サンシャイン斎藤は伊達じゃない。(脚本が残念なせいで)俳優のポテンシャルの使いどころを完全に間違えているが…

サンシャイン斎藤 - YouTube

 

・俳優陣は良かった

前述の斎藤工をはじめ俳優陣の演技は良かった。

(総理役の嶋田久作はどことなく表情の作り方がムラマツキャップに似ていたからおぉ~と思った)

 

俳優の中でも、特にメフィラスを演じた山本耕史は、物凄く頭がいいのに胡散臭い、という印象が強烈でTLでも山本メフィラスは大絶賛されていた。正直山本メフィラスが無かったらこの作品本当に観る価値がない。

山本メフィラスがだらだら喫茶店とか居酒屋とか行く孤独のグルメ的な作品ならいくらでも観たい。

 

シン・ウルトラマンは4バースに別れていて、

ウルトラマン登場

②vsザラブ

③vsメフィラス

④vsゼットン

という構成だが3バース目で終わらせておけばよかったのに。

旧作ライバル同士の対決(マンvsメフィラス)はアガった。

話の流れ的にも地球人ってこれからどうしていくわけ?という解をつけやすそうだし。

 

・その他つっこみどころ

神永さん、公安だから盗聴とか防止のためにアナログ(紙)で情報受け渡ししてるって言ってたのにUSB放置してていいのかなあ…

 

滝くんがいじけてる時にあかりんが「それでも出勤してるってことはあんたまだやることがあるってどっかで思ってるからきてんでしょ!!!」くらい言っても良かったんじゃない…?

禍特対の中での人間関係が描写不足だったよな。

初代ウルトラマンみたく隊員同士が買い物行くとか軽口言うとかのふつうに仲良いんだなってシーン、又は仕事上でお互い信頼できる・しているというシーンがあれば、リピアの語る本音が薄っぺらくなかったはず。

禍特対内、まともにコミュニケーション描写がなく、リピアが命を賭してゼットンに挑む理由が見当たらない。

知らん間になんかこいつ人間好きなって「君に託す」いうてはるわ位にしか思えんストーリーやから、全然ゼットン戦にクライマックス感がない。

 

ウルトラマンオタクって宇宙人や怪獣が観たいわけであって恋愛やエロは求めてないが、今作はいっそのことめちゃくちゃ恋愛に振り切って神永-浅見のコミュニケーションに絞り好きになった理由付けをした方がまだラストに至るまでの道筋がマシになったかもしれない。何もかも中途半端なんだよなぁ…

 

きっと調子こいて帰マンのリメイクするんだろうな。クソがよ

 

・結論

私は昨日映画館にて何らかの理由でメフィラス戦以降の記憶がなくなった、という設定で生きていくことにした。

ちょろい行動原理しかない全然超人じゃない「ウルトラマン」と無駄な性的消費が許せない、私はあれになりたかったのか…?って食事中78回くらい呟いた。

「多分強制的に宗教を塗り替えさせられた民ってこういう気分になるんですね、先輩…」と放心しながら駅まで歩いた。

 

おじさんに地球を任せてはいけない。やはり自分がウルトラマンになるしかない。

 

【病状】

烈しい怒りの感情により全ての症状が一時的に停止。

あ、串カツ食べたけどそんなにたくさん食べられなかったから油ものダメみたい。

 

ああ心のカラータイマーがかゆい。