焦げた後に湿った生活

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闘病記11

【今日の病状】

7時間睡眠ではやはり足りない。

生来の寝起きの悪さもあり、目覚まし時計が鳴るより早く自然に目が覚めても二度寝してしまう…

 

今日は腹を痛めた、瑪瑙の内臓に海鮮物を入れたらヘンな化学反応を起こしたらしい。

ぬるめのお湯に薬っぽい匂いのオイルを数滴と塩を混ぜて入浴してから寝よう。

 

朝は何回かにわけて柔らかい菓子パンを食べた。

菓子パンは好きだけれど三食食えないのが難点で、塩気が欲しくなってしまう。

 

16時頃遅めの昼を摂り、米を炊いてもよかったがまた昨日みたいによそいすぎて吐くのも億劫になったので蕎麦にした。

ゆがいてるあいだに、お皿にミニトマトしらすをほうってオリーブオイルと生姜であえておく。ゆがきおわったら蕎麦の水気を切って、温かいままミニトマトしらすに混ぜ、追加のオリーブオイルと白だし(これは蕎麦つゆでもなんでもいい、しらすに塩気があるので少なめに入れること)を入れて完成。

 

蕎麦は滋味があって良い。今でこそヘルシーフードだが、昔は栄養食だったのだとどこかで読んだ。

オリーブオイルをあえる方法は元夫の真似をした。彼はガレットに蕎麦粉を使うことからヒントを得て蕎麦に洋風の味付けをしようと考えついたらしい。

私があんまりパスタと洋風蕎麦を褒めるので、迷ったらその二択になる、自分はもっと色々な料理を試したいのだけど…と苦笑いしていた。

 

私はいつ結婚が破綻してもしゃあない、このパスタと蕎麦を食べられなくなったら後ろ髪ひかれるかもしらんけどせんなしや、といつも心のどこかで覚悟していたけど、まったく顔に出さず「美味しい」と言って笑顔をふりまいていた。

離婚後に田辺聖子/私的生活を読んで、「お芝居と知らんかった人は、かなんやろなぁ」というセリフのところで心臓に釘が刺さった。

その釘は一年後くらいに中野にある小料理屋で大分年下の男の子と喋ってる時に抜けたけど(彼が"革命家と哲学家は合わなくてもしょうがない"と断言したので、お芝居が続かなかったのも自分のせいではないと思えるようになった)、未だに傷口は化膿してる気がする。

 

【瑪瑙】

療養場所の援助を頼んだら「どうして実家を頼らないのか」と言われた。

逃走したのを知っているくせにそのセリフ放ってきよったのでわざわざ解説してやった。

 

「あの人らは私が母の弟にセクハラされた時に何もせんかったし、"被害者にも落ち度がある"と言うたんや。そんな所で療養できるかい。私は敬虔な信者が毎日祈るくらいの慎重さで治療せなあかんのに、嬉々として残りの理性を壊しにくるような人たちと一緒にはおられへん。

口でどう言おうと娘を助けるための現実的な対処をせん人間と判断したから最初から頼りのうちにはいれとらん」

 

親戚が十数人集まっているのに誰一人として母の弟を止めるものはいなかった。

「ハァ、そういうことしたいんやったらそういうお店行って。言っとくけど酒の勢い、なんて今でも後でも言うたら刺すから」

それだけ言い放って私はいとこの部屋に入った。

煙草を吸っていたら、いとこがきたので「車出してくれる?」と頼んだ。

いとこは何も言わずに部屋を出た。

私はこのいとこが大好きだったけど、後から「あれはうちの親父が悪かったんや」と言ってた、と母から聞かされて軽蔑した。そう思ってるなら、直接言いにくるか殴ってでも父親を引きずりだして土下座させにくればよかったのだ。

 

車の運転はおばがした。

「なあ、もうこおへんなんて言わんといてや、おばちゃん寂しいやん」

「そうやって結局、私の行動に委ねるのは卑怯やと思わん?」

 

これが彼らに会った最後の記憶。

そのあとは実家で、「親っていっても、娘が目の前でああいうことされてもだんまりなんやな。」と小学校教師が出来の悪い子どもの通知簿へ2を押すみたいな静かさでつぶやいた。

 

「アンタの入学金を融通してもらってるから…」

「さよか。入学金いうたら30万か、ほなあたしおじさんを脅して30万示談金もろてくるわ。やったこと記者に売るいうたら出しよるやろなあ。小規模な地方紙でもネット媒体でも数こなせば炎上や。ナントカ介護サービスの社長、実の姪に…って記事が出て、炎上するんと黙ってお金払うんどっちがいい?ってつきつけたら、堅実な択は後者やね。

そのお金そのままおじさんにつき返したら、お母さんはあの人殴ってくれるよね?」

 

父も母も何も言わないからとうとう通知簿に1がついた。

父、母、兄、おじ、おば、いとこ…と私は自分の手でセーフティネットを剥がしていった。その時から心の一部が瑪瑙になった。

 

鉱物並に動かず、そのくせ多孔性で、ボコボコした縞の断面へ外部から色んなevilが入りこんでこようとする。

 

その瑪瑙が最近五月蝿い。

こいつは鉱物のくせに知らんうちに貝が中身だけのばすようにうねうねと蠢いて本体を脅かしにくる。

援助を頼んでいるひとが同じ多孔性物質飼いだとわかっていてアテにしている私は、果たして主が自分なんか瑪瑙なんかわからんようになってきた。

 

【悪夢の内容】

東京にいづらくなって、昔つとめた研究所のコネで関西での新しい仕事を得た。給与は高くないが正社員なので不満はない。

 

京都の学校で働くのは気分転換になっていい。

だが職場にいる年上の女性がやたらねちっこい視線で見てくるのが気になる。彼女は、表面上私に何もしないけれど。

 

おそらく色恋沙汰やろうなあ、と思って探りを入れたら、私が大昔に食事したことのある男性が彼女の夫だった。バイト先が同じだったのだが、格好良かったので気にしていたら、そのうち「ボクもうすぐここを辞めるんですけど、連絡先交換してくれませんか。食事でも一緒に…」と声をかけられたのだった。

いっぺんレストランに連れて行ってもらい、数日後また誘いがあってボクが料理ふるまうので家にきませんか、と言われ「未成年なので独身男性の家には行けません」と返してそれっきりだ。

 

ハハア、家で新しく入ってきた人として私の名前を出して、その時の夫の反応に何かあやしさを感じたのだな。

彼はきっと何も知らないで聞いたフリか、「その子バイト先のスーパーにおった人や」位の反応をしたんだろう。

でも、彼女の観察力の方が高かった。

 

不思議なもので、観察や監視されているとこちらもなんだかカンがはたらくものだ。

週末、新幹線に飛び乗って東京にいるボーイフレンドの一人に「ちょっと用事出来たからアンタの家行くの一日はよする」と連絡した。

ただのジャブで、連絡してすぐ家に着いた。

果たしてドアを開けると、例の職場の女性がいた。女は焦っていた。この人自分も不倫して夫の不倫もうたぐるのね。

 

登場人物が全員知ってる人かあ…と呆れた。

 

月曜日、職場の学校に戻ったらむかしの年下のボーイフレンドが生徒で、一体この学校は何を教えてるんだろう、と思った。

不倫だの教師-生徒だの、そういうことしなきゃ一生出られないかたちの地獄なわけ?

 

副業してお金貯めてここを辞めよう、と決めた。

授業が始まる。指導はちゃんとやる。