【今日の病状】
貧血のような状態が続いている。
血液検査の結果を記す。ほとんど正常値だが白血球像の項目のみ<*>がついていた。
白血球像
Eosino…基準値上限7に対して8.4
Neutro…基準値下限42に対して40.2
Mono…基準値上限8に対して8.7
これらの値が何を示すか私は知らない。
一応考察するならば、アレルギー持ちだから微量に上限/下限を超えてるということか。
その程度の事象ならいいんだけど血液の色が普段より悪かったから(酸素不足の色)多少気になる。
血液検査の結果をみて所見を述べられる人がいたら教えてください。
肉や魚を食べる気にならなくて困ると先日書いたけれども、僧侶のような食事でやり過ごしている。湯葉やがんもどきがあればタンパク質は摂れる。
東京で美味い湯葉とがんもどきを食おうと思ったら体感京都の1.5倍の値段がかかる。しかし好物に金をかけない選択肢はないし、まずいものを喰らって生き長らえるほど元気でもない。
大豆の栄養のみでいけるかどうか分からない。
そのうち肉を食いたくなって鳥目の家に駆け込むかな? アーメン。
【夢の内容】
昼休憩は食事を済ませたら寝ることにしている。
今日の夢では高校生に戻っていた。
相変わらず直接的暴力の夢ではなく間接的に魂を痛めつける内容だ。
なんらかの流行り病がおこり登校できなくなってしまった。
プライベートで友達と会うことも禁じられて、家にこもっているしかなくなった。
一日になんべんか、学校から一斉送信で宿題やお知らせの類が届く。
そのようにして過ごしているうち、奇妙な現象が知らせられるようになった。
怪我をした生徒の情報が流れてくるようになった。頻度はだんだん高くなり、今では毎日そういったメールが来ている。
家にこもる日々で怪我するなんてこと、そんな沢山あるんだろうか?という当然の疑問が生徒間で沸き上がった。
ある者はきり傷、ある者は打ち身、皆々DIYや格闘技の修行でもしているのかというくらい頻繁に怪我の知らせがくるので多くの生徒が異変と感じ取っていた。
私の友達とのグループLINEでもこの話題があがっている。友達の一人は何故かBLEACHの黒崎一護で、あと洋次と誠との四人組だった。全員勘はにぶくなかったので言わずとも「なんだかへんだな」という気持ちは持っていたみたいだ。
それとなく日常のやりとりに毎日の、あの学校からくる告知のことがちょっと混じっていった。「昨日腕に傷を作ったのは2組の〇〇らしい」といったように。いつも告知では生徒の氏名は伏せられていたが、まあ知り合いのそこここから情報は来るものだ。
地味に静かに日々が狂っていってた。だんだん「怪我」を負うものが身近にも増えていってて隠されてはいるが自傷であろうというのが噂されるようになり、もうこれは匂うぞと私たちは思っていて、それが顕著にあらわれたのは洋次の時だった。
ある日の16時頃、例の告知が来た。3組の男子生徒が指を怪我したというアナウンスがあり、当該男子が洋次で、指を自分で切ったとすんなりと他の子から聞かされて知った。
はぁ?と思ったがその日から洋次の連絡が途絶えて我ら三人も共通認識とせざるを得なかった。
残りの二人とLINEした。
「ありえねえ」
「洋次が自分で指を切るなんて」
「幼稚園で働いてるのに」
何かある、という直感はほぼ確信で、生徒が自身を傷つける行為を隠されているのは学校が恣意的にやっているのだろうと話した。ウェルテル行為でもなんでもいいが、実際起こったことを隠していることに不信があった。
しかしどうして洋次が自分の指を切り落としたのかはわからない。話しても暗い方向にしかいかないことがわかったので、適当なタイミングで話を切り上げた。
その夜、夕餉と風呂を済ませたあと、ふすまの前でぼーっとしていた。
すると、ふすまに映った影がぬるぬると動いて変化した。
(私はこのギミックを別の夢で見たことがある)と気づいたけれど打つ手はなく影は動き続け、歌舞伎役者のこども、というような風体の和装の美しい男児に成った。
影の男児はふすま上を自由自在に舞った。6才くらいの男児であろうが、その者の眼光はしっかりしているし動きは普段の練習を想起させ華麗に舞っていた。
何より舞は愉しそうであったが、舞を見ていると、「彼にはそれが許されていますがあなたはそうではありません。」と声が聞こえた。まるで週刊誌の次のページをめくったようなトーンで。
声を耳にした瞬間殆ど自動的な怒りが身を支配し私はふすまを殴った。
殴っても影は消えなかった。殴るたびに男児の影は小さな女児が動くさまに一瞬変わるのだが、またすぐに男児に戻り、一向に現象は止まなかったのだ。
私は気づいた。一瞬映る女児が自分の影であることに。だけれど殴ることを止められず、いずれふすまは壊れるだろうがふすまが壊れても今度は別のものを殴るし家のものを順番に破壊していく中で自分の右手が壊れることだろうと思った。
あの声のせいで自分が昔から持っていた恨みと怒りを喚起されたことに勘づいたけど、恨みと怒りはしっかり私の内部に根付いていて、こうやって皆自分を壊していったんだ、洋次も自分の弱い部分を攻撃されてこうなったんだ、と思考をしつつも自動的に右手は動き続けた。
ああ私も明日には右手を「怪我」したって告知されるんだわ、と考えた際祖母が私を止めにきた。現実の祖母と全然違っていて、低身長で丸っこい眼鏡をかけていた(私の血族は全員高身長だ)。ついでに私が生まれる前に死んだので会ったことのない祖父も来た。
「おばあちゃん…」
私の腫れた右手を持って祖母は動きを止めてから、何か言った。それは言ってはいけない一言だった。
所詮偽物の言うことなんだわ、と斬って捨てることはできなくて、彼女が「女の子なんだから…」式の御託を述べたから。
腕を振りほどき、消えろ、と念じたら代わりに両親が来た。これはホンモノだった。ちょっとだけ若かったけど…
「ママ…私"女の子"やったんや…」
私はようやく理解した、友達たちが心地よくフラットに扱っていてくれたから意識せずにいられただけで、祖母の言ったようなこととあの何者かわからない、この世ならざる者の声が言ったようなことに、私はずっと傷つけられていた。夢の中で性別を忘れてしまうほどに。これは呪いだ、パンデミックの形をしているだけの呪いだ。
「どうしたん、こんなんなって」
母が心配そうに聞く。
「皆自分を傷つけるようになったんや。洋次も自分の指を…」
「洋次くんて仲良かった子ォちゃうんか」
父が私の友達関係を思い出しながら質問する。
「そうや、友達や。ちょっとふっくらした、幼稚園でボランティアしてた子や」
洋次はひとめ見ただけなら不良と思われそうな見た目で、つり目のどっしり体型だった。でも人となりを知れば彼が幼稚園で働くのは極めて自然なことだと皆得心するような子だ。
「ずっと縛られてた、今思い出した、このままやとまたやってしまうわ影は消えへんもん」
どういう理屈かは知らないが確かに学校がこれを隠していたことは変なことではない、と思った。だっておとなしい個が集まって成立する性質のものだから、「感染」したものは学校の性質にそぐわない。抑圧されたことに対してこんなに激しく反応するのだから。
「〇〇ちゃん(私の名前だ)、聞きや。プラクトン・マナクなんよ。」
「え?」
「あなたはプランクトン・マナクなの。」
母が言い出したフレーズは初めて聞いたものだった。
「それ、なに? ふつうのプランクトンはわかるけど。マナクたらなんや、全然知らんえ」
「プランクトン・マナクは他の個体と違うということが、種のためになるの。生物多様性ってあるでしょう。あれは生きもんに必要なもんなんや、プランクトン・マナクはそれを担保してくれるんよ」
なんじゃ、そりゃ。
「いやや、私がプランクトン・マナク? 生物多様性のために存在許されてるん? そんなん…他の生きもんのための人質やんか」
「〇〇ちゃん、聞きなさい。プランクトン・マナクにはまだあるねん。プランクトン・マナクが存在してるとな、後の生物が続いていけるんや」
母の説明はやや茫漠としていたが言わんとしていることはわかった。
「プランクトン・マナクの後には進化の可能性が残されているってこと?」
母の解答が聞こえる前に夢は終わったが、母と父はうなずいていた。私は進化のために生かされているのだ。不服なのは不服だが。おそらく身体的な進化のためではなく概念のための遺伝子キャリアーなのだ。
理解したと共に、深海から水面へ上がっていくみたいに、意識が醒めていった。
【世界の変わらなさ】
この夢を見たのは、ちょっと前にある他社の男性が育児休暇をとっていることに対して、「俺たちの会社で男が育休を取ったらどうなるか」「あの人両親に預けられないから仕方ないんでしょ」という会話を聞いたからだ。
両親に預けないのなんてその人の自由だし育休は取りたきゃ取るべきだ。しかも2022年に男が育休なんか取れるわけない、叩かれる、みたいな感じで言ってたから頭の片隅に杭となって残っていた。
プランクトン・マナクはこの世に失望している。