焦げた後に湿った生活

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ヤリ○ン転職エントリ

転職することを決めたのは春のシステムリリース中だった。

3月、「まあ5月にはヒマになるからそうなればゆっくり面接にいけるわぁね」と考えていたがパワハラへの対応などが重なって8月でもバッチリ忙しく、流れ星と同等の速度で転職活動を駆け抜けた。

 

【前段・正社員の門】

自分は20代全てを京都でのバンド活動と大学院での勉強に捧げていた。

大学院では就活したら勉強時間が少なくなってしまうので全くやっておらず院卒業後も内定先はなかった。

働いたことがないという状態を回避するため、またPCでの作業に慣れるために派遣で事務をしていた。

30才になってから結婚生活の破綻を機に、どうせならやるだけやってみようと思い生まれてはじめて就職活動をした。しかも東京で。

 

おりしも世間はオリパラ景気で売り手市場であり、東京では求人がとても多かった。

同じ条件で検索しても圧倒的に東京の方が条件が良く、というか関西の求人では「英語の読み書き必須で初任給14万」という人間生活を舐め腐ったレベルのシロモノが多かった。

就活をしたことがないのでジョブホッパーを上手くやっている友達に「私、就職活動したことがない! 履歴書と職務経歴書の書き方を教えて!」と頼んで、コーチが2人ついた。

 

コーチの腕が良かったのもあって二社目で受かった。

初任給は正社員経験がない人にしてはそこそこもらえた。

 

賢い答え方だったと後から振り返って思うが、自分の市場価値が全くわからない面接で「どのくらいお給料欲しいですか」と聞かれ、「東京都内で、女性1人が安全に暮らすのに不自由ないお金をください」と言ったのが功を奏した。

治安の悪いエリアでとにかく安いアパート、といった暮らしではなく、都内で治安が良いとされているエリアの少々綺麗な部屋を借りてもなお給料日前に食費がないなどで困らないというルートを選べるレベルの金額を具体的に言わず要求した。

具体的に言ってしまうと人によってはいやらしく感じるし、そもそも求職者の方から「○万円欲しいです」と言いにくいし、初めての正社員で迷ったらこう答えておけばよい。

 

【転職の実態】

そして転職の話に戻るが、三年は何があっても辞めないと決めた職場で三年経過後ここにいてもキャリアアップは望めないと確信したので、システムリリースの最中にも関わらず転職活動を開始した。

システムリリースが始まる前は忙しいけれど、始まってしまえば職業柄ヒマであったからだ。実際にはプライベートや自社からのパワハラなどで対応するべきことがアホほどありヒマではなかったが。

 

基本的に転職エージェントやサイトを介して応募するより、直接応募した方が紹介料を払う必要がないため企業には好まれやすい。

しかし、僕は早々に直接応募を諦めた。

 

理由①

直接応募だと思ってクリックしてフォームを送信したら、実は企業ではなく転職エージェントの所にアクセスする仕組み のパターンが死ぬほど多い

 

理由②

①の余波で、登録する転職サイトが雪崩式に増えていき、なんでここからスカウトの通知メールがくるんだっけ?という有様になる

 

理由③

人材不足が続いているせいかとにかくめちゃくちゃスカウトメールが届いたりオファーがきたりするので、それらを捌くだけでも相当のコストがかかるしスケジュール管理が出来ない

 

上記の理由により、転職エージェントを絞って使うことになった。最終的にはエリートネットワークとtypeの2つのエージェントに付いた。

どのエージェントを選ぶかは、どんな人に当たるかの運もあるが、僕は「人柄」と「この人の選ぶ求人は一次選考通過率が高い」で絞っていった。

特に、企業との面接後に必ずフォローを入れてくれている人は自分の心が軽くなるので良いと思う。

 

 

転職エージェントによってはアプリでスケジュール管理できるところもある(typeはそうだった)ので、スマホ一つで自分が何を通過して次は何日に何をするのか目視できるのは便利だった。

エリートネットワークもイケメンの担当者が細やかにメールや電話でスケジュールと次の選考に際して準備することを伝えてくれるため、自分はそれを手帳にメモするだけでよかった。

 

アドバイスは積極的に聞きにいこう。

初めての転職ということもあり、転職成功者のレビューを受けながら職務経歴書を作って転職を希望した理由を書いた。

エージェントからも「職務経歴書はとても良いですが資格がないのがややネックなので、実務経験やこれから資格取得をする旨をアピールしましょう」とアドバイスをもらった。

 

【転職における魂の段階】

この2社に絞ってなお捌く企業が多すぎて、「残念ながらこの企業は書類で落ちました」と連絡が来ても、「え、そんなところ受けてましたっけ?」というトンチンカンぶりだった。

 

また、「こちらの企業もおすすめなのですが…」と最初に言われていたところで結局受けなかったか書類ではじかれたかした企業について、「ああ確か○市の。新宿より左側にあるところですよね?」と僕はのたまい、転職エージェントは「この人東京を新宿より右か左かでしか認識してないんだ…」と呆れて閉口した。

 

このように、転職の第一段階では溢れる情報量に脳みそがついていかなくなり、第二段階では企業に興味がなくなっていく。

企業名+立地+ポジションでメモしないと、何の求人に応募したのかすら把握できなくなっていった。

 

それを見た友人が「ヤリチンの思考」と表し、確かにそうだなと思った。

 

第三段階でようやくどこの企業に強くアプローチをかけていくか決まっていく。

一次面接などでこの会社は自分の良いところを見てくれているなとか、採用しようとする熱意があるなとか、求愛を受けて繁殖モードに入る孔雀か何かのようにこちらも熱気が入る。

 

最初の面接時点で面接官のやる気がないなどのマイナスの印象を受けた場合、その会社に受かる率は高くないので割り切って面接の練習と思えばよい。

 

それから、最初の3社くらいは自分の刺さるポイントを見極めるものだと考えて落ちてもクヨクヨしなくてよい。

 

ヤリチンの思考と呼ばれて最早何社応募して何に合格したのかも完璧に把握していない僕は、2社に目をつけてこのどちらかに決めたいと考えた。(滑り止めで1社の内定もキープしていた)

面接官の印象が良く、採りたいか興味を持っているなと感じたからである。

勿論、自分のやりたいことと噛み合っている求人内容だからというのもある。

 

 

結果として、「バンドマンってお客さんから決して安くないお金を払ってもらって、たった20分の演奏をみにきてもらってるんだから、その分何かペイしないといけないという意識は常にある。自分がその日嫌なことがあったとか最悪の気分だとかお客さんに関係ないから、たとえ控室でメソメソ泣いていてもステージに上がった瞬間涙はひっこめる」と自己アピール時間で話したことが刺さった会社に入ることになった。

 

【転職でいくら年収は上がるか】

+100万。

 

うまくいったのでこう。100万はあまり期待しないで+50万くらいを目指した方が良い。

 

僕は前職が残業代なしボーナスなしの会社で純粋に月給×12の年収だったので、「見た目の年収額でなく月収を下げないで年収を上げてほしい」とエージェントに伝えていて、エージェントもその旨を企業に伝達していた。

 

普通にボーナスありの会社から転職するのだったらボーナス込みで+50万いけばいいだろう。ちょっと特殊なパターンだったので、ここは何度も詳しく説明した。

 

【転職して良かったこと】

・自分の市場価値がわかる

・自分に興味を持っていて親切な企業だと「推していたが、資格持ちが競合にいて…」と落ちた理由を教えてくれる(明確に競り負けた理由が判明するので次の転職で活かしやすい)

・転職の理由はめちゃくちゃ聞かれるので、きちんと自分の中で解を出せるまで考えたこと

・将来何がしたいのかな、という茫漠としがちな目標がクリアーになる

・友達の有り難さが身に染みる

・エージェントの優しい言葉も身に染みる

・たまにエンカウントする良い面接官に心癒される

 

逆にやばかった点は、

・マジでシステムリリース中に転職活動をやるな 正気か?

・一次面接が終始和やかな雰囲気で、こういう社風なんだなと思ってたら突如二次で「ライバル不在で暇を持て余した暗殺者」みたいな面接官が現れ辻斬りされた。いきなり英語で話しかけられ、驚きながらも何とか返したものの散弾銃の如く次々と質問をされ短く的確に返さないと「三下(ゴミ)が…」という目で見られた。そういうジジイは嫌いじゃないが、ここで心折れる求職者もいることであろう。ちなみに二次で落ちた⭐️

・〆切が重なり二徹する羽目になった。自分のせいだけど

・コロナが軽く見られるようになり現地面接が増え、都内を右往左往するためにビジネスホテルに泊まって仕事しながら空き時間で面接を受けることになった。無論自費で。

 

転職活動はまず上手くいってる人からアドバイスをもらえというのは何回も繰り返して言う。

何事にも先達はあらまほしきことなりというのは真実である。

 

あとは自分の刺さるポイントが何かを数社の面接を経て把握すること。

話の引き出しが多かったり鉄板ネタを持ってたりする人はそれを使えばいいし、求人内容に対して自分がどうしてこれをしたいのかを説明出来るようになった上で、大喜利かラップバトルくらいの気持ちで臨みなされ。

 

そう、面接は大喜利なのだ。面接官の過去の傾向がエージェントから漏らされていない限り、面接官からの質問(お題)にはその場でパッと答えるしかない。

 

以前2023年は言い換え力が大事になる、というたがそのパワーは転職活動でも同じく大事だ。

 

お前はステージに立ってマイクパフォーマンスをかます覚悟は出来たか?