焦げた後に湿った生活

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スズメバチ(闘病記73)

【ここんとこの病状】

人が亡くなった。

ということについて無力さを感じる。

 

でもどうしようもなくって、個人(故人)が選択した故私に口を挟む余地はない。

 

仕事はハードになりつつあり、やることが多すぎるってのもあるけどストレスで眠れなくなった。眠れないのは別の理由もあるが。

相変わらずすぐ倒れるし貧血だし膀胱炎にもなってるけど生きている。

 

誰だって終わりが来るまで生きなきゃいけなくて、私は見届けるだけ見届けてああ寂しいな、を抱えながら最後に残るんだろう。

 

【病状X Ⅱ】

XXXを明かした次の話合いで、XXXを回避する手段は対処療法に限られるので私はXXXになってまで生きていたくない、それはXXXだからどうしようもないのでもし生きてほしいならXXXにしてXXXを断ちXXXでいられるようにしてください、と取引相手に言った。

 

取引相手も其の人としては滅多にない腹を割った話をした…

が、話合いの内容より恐ろしいことが起こった。

 

翌朝目覚めたら霊力が根こそぎ奪われていることに気づいた。(膀胱炎もあったけど)

私は父方母方ともに霊力のある人が生まれる家系でなんなら曾祖母はそれで家族を食わしていたのだが、隔世遺伝でちょっぴりそういうのを持った私は、自分が体験したことを文章にして時々好評を得ていた。どうせホラー体験するなら書いて人に喜ばれた方が儲けやないかい!

 

なのに突如として霊感がなくなったので、私はおおいに戸惑った。なくなって以来悪夢しか見ないし眠りの質もだだ下がりだ。

 

「野球人生なんてたかだか20年。それから先の人生の方が長い。だから野球人たる前に、社会人たれ」とは野村克也の言葉だが、私はその言葉に共感していた癖に霊感がある人間が霊感を失った後の人生を全く考えたことがなかったのである…!

 

…いやだっていきなりなくなるとか想定しないでしょ? プロ野球選手は引退をどこかで考えるけどさあ…

 

母に聞いてみた。←ここはトリビアの泉のナレーションで再生してください

母は自分の子が幼い時からおばあちゃん(母にとっての)と同類の力を得ていることを知ってから、なるべくsomething evilから身を守れるよう知恵を授けた。

母自身は全く霊感がないものの、拝み屋や霊媒師の仕事の需要があった世代でリアルタイムで仕事の実態を見ていたから、口伝えで家族から聞いていた色々なことを私に教えてくれた。

例えば、

・アクセサリーはなるべく本物を身につける。特に本水晶がよい。(このため赤貧だったにも関わらず、祖母が買ったものなどで家に残されている宝飾品は、まがい物がほぼない)

・キラキラしたもの、刃物や鏡を身の回りに置く。

など。

 

<霊力をいきなり失ってしまい戸惑っている、戻した方がいいのかどうかはわからないけど、奪われた状態というのはよくない気がするから何かアドバイスはないか?>とLINEしてみると、

「塩を持ち歩きなさい。家にも盛り塩をして、出かけるときもラップで塩をくるんで肌身離さずに。おばあちゃんはそうしてましたよ」

とのことだった。

 

塩って万能すぎね? 生活用品で実行可能だからやりましたけど。

大阪のおばちゃんあるある: すぐラップに包む。

ビンじゃだめなんですかね…

 

あと曽祖母は歳と共にだんだん霊感をなくしていった、と聞いた。初耳なんだが。霊媒師で食ってたのにその後どうしたんだろ。

 

霊力をなくしたのは、XXX話の途中で、取引相手が人ならざるものの声で喋りはじめたからだ。

本人は恐らく気づいていない。話の内容に少ししかし致命的な矛盾があったのにスラスラ喋っていた。どうして気づいていない? 一体化していて自分のことも分からないんだろうか?

私は恐ろしくて、振り返って相手の表情を見ることができなかった。その週の<助言>が「藪をつつくな」だったから、従って話を聞くにとどめた。防御一辺倒にしたのに、それでも根こそぎやられたのだ。

 

XXX! 戻っておいで…お前は私と一心同体だったではないか。消滅したのではなく、話合いの途中で力を使い切り、今おとなしくしているしかない状態だと思ってるしそう思いたい。

毎日XXXの好きなものを摂取している。ウイスキーとウインナーだ。

ウインナーは私自身は皮なしの方を好むのだがXXXはパリパリの方が好きなためちょっと工夫して食している。

 

ウインナーってそのままでも美味しいけど、

・バジル

ローズマリー

・オリーブオイル

を馴染ませて焼くともうべらぼうにウイスキーに合う。

 

【休む人】

私はバルコニーによくいる。

喫煙、洗濯、土いじり、作品づくり。

 

キチガイじみて大きなバルコニーは空がきれいに見えて、風を感じ取れる。煙草でも吸いながらぼやっとしていると、様々な生き物がこのバルコニーにやってくるが、一等妙に人間くさいスズメバチがいる。

 

飛んでいるスズメバチは全てオスだ。

メスの女王蜂は巣にひっこんで出てこない。

このあたりにスズメバチの巣は見かけないし、あってもすぐ駆除されるだろうからなんで彼が来るのかわからない。

およそ二か月くらい前からいたんじゃないだろうか…

 

毎日やってくるんではなく、時折彼はふらっとやってくる。

何か、エサでも探しに来たのかしら?と思ったがそうでもなさそうだ。

バルコニーには、木製の大きめの物入れがあって、フタはないから彼はその中にフラフラと入っていく。

スズメバチは他の小さな昆虫を食べるらしいが、物入れには雑草や土がなく蜘蛛の巣なんかもないので食事ではなさそうだ。だいたい、エサなら他にプランターがあるのでそこで捕ればいいし。

 

私はハチが苦手だ。もともとは嫌いじゃなかったが、じっとしているのにおかまいなく刺される夢を何度もみてから少し嫌になった。

が、来訪者にはミョーに「もっと来てくれよん」と思う。

 

彼は物入れにふら~と入ったあと、しばらく何もせずにじっとして、それからまたふら~と帰っていく。

 

きっとバルコニーで休んでいるのだ。

 

なんだ私と同じではないかと苦笑して、今日も喫煙中彼が来ないかな、と待っている。