焦げた後に湿った生活

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3分人生ディフェンス

「何か欲しいものある?」ってコンビニで聞かれて「明日飲むルイボスティーがない」と答えた。

半年前も同じ応答をした。

そんな答えがあるのか、と相手は軽く驚愕していた。

私にとってルイボスティーが切れていないかどうかはかなり重要な問題である。なくても死にはしないが。

年々、着るものや口にするものにうるさくなってきた。昔は安くて栄養がかたよっていなくてお腹がいっぱいになるならなんだっていいだろうという考えだった。お金を自分で稼がなければ、即、飢え死にという生活が私をそうさせた。今はちょっと違う。

 

コンタクトレンズより短い期間付き合っていたガキが「上野千鶴子は”今の若者はユニクロで満足”とか言ってるからだめだ」とほざいていた。何かいけないことを彼女は言ったのだろーか。なぜ批判されているのかわからない。

ユニクロで満足って、やばいけどな。精神的にも肉体的にも。安すぎる食品を避けたりまともに装う衣服を購入できなかったりするのは、相当やばいと思う。満足してるなら感性が貧しくなってると評論されたってしょうがない。セブンイレブンで買ったtorettaの芽キャベツが便利だったので、ネットで安価な芽キャベツの3パックセットを注文したら一口食べるたびにゲンナリした。安すぎる食物というのは、静かに確実に人体を破壊しにくる味をしている。ガキは実家寄生で食べ物を心配する必要がない。

明日食べるパンを確保できるかどうか心配する生活になったら昔の考え方に戻るだろうけど、今のところは着こごちのいい下着やなめらかな毛布やオーガニックのコーヒーを買っていたい。

 

昼間からぶらぶらとイケメンのお兄さんと散歩した。

「最近調子が悪いんだよ。身体だけじゃなく心もね。メンブレだね。」

「仕事がひまだから?」

「それもあるだろうけど…一人でやってくのがしんどくなってきてしまったんだよ。今までもたまにこういうのはあったけどずっと一人でやってきたしそれで平気だった。」

それってモチベがなくなってるんだぜ、って私は心の中で解説を入れる。みなまで言うてもどんならん。死ぬまでの暇つぶししてる。積極的に死にたくはないけど別に生きていたくもない人間は。お兄さん自身いやってほどそう感じているだろうし。

"38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記"で登場人物の男の子が言ってたけど、

ありがとう若く美しい青年たち|38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記|松本千秋|cakes(ケイクス)

"漫然と生きることにまるっと疑問がある人間は死が身近なのは仕方ない"のだと思う。生まれてきちゃったから死なずに頑張らないといけないんだよ、と彼は。それはそう。一定数の人間はね。でもその男の子は20才位で…お兄さんはとっくに35を超えた。そりゃ、飽きるわな。私だって飽きてる。

 

かつて結婚していた。

以前の結婚はしんどくて結果的に精神を病んだけれど、家庭を作ったことに味をしめてしまいまた結婚したくなった。

「カウンセラーがねえ、再婚したいなんて意外でした、一度ご結婚されているし結婚願望はないのかと…だって。」

キラキラした中東製のタイルに囲まれながら、官能的に美味いトルコ料理を食べる。

「一回したからもういいやってもんじゃないよね」

「でしょ。それにね、その人"完全に未婚の独身なら結婚したいというのもわかるけど…"ってニュアンスなんだよね。たまごっちじゃあるまいし、『クラスの皆は買ってもらってるんだからうちも買ってよー!!』という欲望ではないでしょ。周りはうまくいってるのに、と比べてへこむことはあってもさ」

「その時自分がしたいかどうかなのにね」

クリームチーズにハーブで深みが出た前菜をぺろりとなめつくした。

これからどうするのだろうな。比較的死に近い者同士で。

 

「昔マッチングした男が”出来るだけ娑婆い生き方はしないようにしてる”つったんだよ。じゃあ今から海行こうよ、三浦半島ならまだ終電があるわって提案したら"明日は仕事が…お台場にしない?"だって」

「シャバシャバだよそれ」

「その仕事っていうのも、企画が立ち上がる? 今から立ち上げしようか?…という段階でさ」

「絶対行かなきゃいけない仕事では全くないね」

「娑婆すぎて殺そうかなと思った。…海行く?」

「いいけどね、俺の体調を気遣って…水族館は? 〇〇水族館のある所は、呪われてるんだってさ」

 

呪われし土地へ行く。

行きしなに、その土地の隣接した駅から一気に郊外・住宅街化し瘴気が高まるという話を聞く。

平野から松原市に出るとき、「おコンバンワ」のジャック式狂気に見舞われた人がどっと増えるのを知っているが、それと同種の呪いらしい。

 

そんな呪いも今は懐かしい。私はとっくに現在のレジデンスエリアに飽きていて、毎日、フラワーアレンジメント、タイから取り寄せたジャスミンのアロマオイルを入れた風呂、イスラエル生まれの死海の塩石鹸、年々上手くなる料理、コスメデコルテの化粧品、ルイボスティー、煎茶、カフェオレ、シトラスショコラ、チャイ、オレンジ色のアメリカンスピリット、泉大津製の毛布、ポケモン対戦、推し実況者、その実況者の生放送と生放送で仲良くなった人たち、さいころドロップ、3分タワーディフェンス、つりっくま、クイック麻雀ソリティア…でギリギリ死のベクトルと反対方向に留まってる。煌めくような男の子たちも追加したいけど、誰のこともいいと思えない。友達だけは尊い

ルイボスティーを買ってくれた人はもう一度ルイボスティーを買ってくれるのかな?

もし買ってくれなかったら死んじゃうって人生で一回くらいは言ってみたい。ねぇ明日飲むルイボスティーがないんだよ、買っても買っても飢えるんだ、私に与えてくれない?

実はまだ粘ってるんだけど面倒だからおにいさんにはフラれたって言っておいた。共感性のない人にする恋愛相談、風呂上りのドライヤーしてる時間くらい虚無。

 

呪われた土地の水族館ではタコが素晴らしい質感と動きと色をしていて私は魅了されてしまった。

だから私の人生も未了ってな、なんつって。

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