焦げた後に湿った生活

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ゆるい簒奪(シスターフッド狙いの男について)

出来事としては1年前なんだけどずっと気色悪いなと思ってて、言語化できそうになったから書く。

 

自分が作った、女友達と楽しむ用のプレイリストへ男が勝手に曲追加してめちゃくちゃ嫌な気分になった。

 

私は四天王というグループに入ってて、すげーえ名前だけど別にクリエイター集団とかいうわけではなく大学で知り合った仲良い子の集まり。知り合って13年くらい。

みんな苦労して大学に通ってたから忙しくて、毎日つるむわけじゃないけど、勤勉な苦労人として共感するところが多く絆は深い。

私が結婚する時の保証人は彼女たちだったし、6億年前には「あんたの彼氏があんた泣かしたら、うちら全員であの男囲んでしめるで!!!!!!!」と言ってくれたし、離婚する時もみんなすごく手伝ってくれて、鬱で家事能力・生活能力を喪った私の家にきて食事をつくってくれたり、風呂の介助をしてくれたりした。

ある子は翌日翌々日の食事の準備までしていて、冷蔵庫あけたら食べやすく調理しやすいようカットした野菜が入っていた。

傷ついてパワーがない時何が必要か、想像できる力を彼女たちは持っている。

他の子たちもそれぞれ困り事を抱えている時はLINEグループで話聞いてもらったり相談したりして、お互い助け合ってる。

この世に生きてたら当たり前だけどみんな困り事はある、強く泥臭く生き寿命までの時間を駆け抜けるあいだ、友達の存在ってとても尊い

今更だけど四天王ってめちゃ良い名前だな。それぞれがそれぞれの尊さを認めてて。

 

だ・け・ど、彼女らと自分のために作ったプレイリスト*を、知り合いの男に見せたら、勝手に曲追加された。

 

その男は、「男らしい」とは一線ひいていた。

彼自身、自分が「男」に期待される要素を持ち合わせていないことを知っていたし、そういったものに近づきたくもない、というふるまいをしていた。家父長制や既存のジェンダーロールに疑問をもっていて、くわえて生物学的男性である自分が女性が当事者である問題に意見を表明する時、それはまるっと肯定していいものではないかもしれない、と常に自問自答していた。

 

でもねぇ、たっぷり「男」の要素あるよアンタ。

 

ちょうど"birds of pray"が上映されていた頃chatで、「"birds of pray"めちゃよかった! 観に行ったらテンション上がって、その勢いでプレイリスト作って女友達にシェアした」と話したら、かねてからマッチョさに馴染めなかったという彼は、

シスターフッド映画観ると憧れるけど、おれは入れてもらえないんだなと思う」

「女になりたい」

 

「女になりたい」だって! 笑止! or焼死か? 生理きてから物言いなおぼっちゃん!

 

そう思ったけど何に対してのちょいイラかわかんなかったからほっといた。だが奥歯にガムがへばりついたような感覚がした。「女になりたい」ってなんかおかしくない?

性同一性障害の人が言うならわかる。自然な発言だからだ。だけど彼の場合、今になって言語化できたけど-男性社会、「男」という文化コードにのれないから「女になりたい」と言っている。

 

そのあと、chatじゃなく対面で喋っている時、もう一度"birds of pray"の話になって、向こうは音楽も好きなので「これが例のプレイリストだよ」と内容を見せた。

彼はちょっと見て、編集ボタンを押して-私が止める間もなく曲を追加してほらという感じで見せてきて、

「これもハズしてはないでしょ」

画面にはJoan JettのBad Reputation. *2

決して悪い曲じゃないけど、吐き気がしそうだった。

youtu.be

 

最悪!

なんで私が女友達と楽しむために作ったプレイリストに手を入れられるんだろう? 無邪気に。いや無邪気じゃないな。彼の表情からは、オレモナカマニイレテホシイという卑屈さがみえたからだ。

はっきり断るとかわいそうかな〜って思ったけど「なんで女の子と楽しむためのプレイリストにアンタのオナニー入る余地あると思ってんの?」って釘刺しといたらよかった。 

やっぱ男絶滅させろいうてたS.C.U.M.って正しかったんやない? 人の宝物を土足で踏み荒らすようなヤツは高温の油で20回くらい煮込まれたほうがイイ。あ、宝物であるということも理解してないだろうな。

価値もわからないのに、なんとなくよりかかったらラクそうだ、という理由で寄生しにこないでほしい。

プレイリストを作ったのは、このクソみたいな世界でリアルを生きるしかない戦士たちに、ささやかなはなむけといたわりのつもりだ。みんな同じでちょっとずつ違うしんどさを生きている。人は各自で各々の地獄を生き延びねばならない。オーダーメイドの地獄。

グレたり露悪的になったりするのは時代遅れで、生活を続ける他ないけど、結構しんどいしコストもかかる、でもそんなもん。人間に生きる目的なんてないが生まれたからには寿命まで生きなければならない、だからこそみんな死ぬまで少しでもおもしろく実りある日々にしようとしている。

生きてるだけで死ぬまでだるいし金も体力もいる、だからたまにぱーっとパーティしたり電話したりする。しんどいのはみんな同じなのでイージーにぶらさがりに来ないでほしい。

シスターフッドはオッサンが辛さから逃れるための理想郷でもなければフリーライドしていいものでもないんだよ。

昔「今度からマンコとベースもってるやつ以外ステージに上げないことにした」っていうコンセプトで演奏やろうかとアイデアが浮かんだ時、一部のトランス女性を入れないことになるなーと思ってやらなかったんだけど、↑みたいな勘違い野郎が増えるんだったらやっときゃよかったね。

泣いてるだけのやつは眼中にないのだ。居場所がなければ自分で探したり作ったりしてほしい。

The green placeは自分で探し出すものなの。マッドマックス4観たらしいけど、あの映画から何学んだの?

 

男性自身がマッチョイズムやミソジニーと付き合うつらさから目を背けるのに、gals向けのエンパワメントを都合よく利用するのは害悪だってハッキリ言っとく。

共闘ってならまだこっちにメリットあるけど、ただぶら下がりに来られても不快なだけだから。ちんよし・ケアを丸投げされてるの気づいてるから。本人にはちんよし要求の意識ないだろうけど。

あっ君のクラスメイトと違ってジョセイハヤサシイからキモいって言わないと思った? むっちゃキモいわシンプルにキモい。お前の体感したことない地獄から新鮮な「きっしょwww」をお届けする。

仲間に入りたいけど入れないからって欲求(=自己肯定できないことへのケアを女に、、)を身近な人間に押し付けてくるのがまさに「男〜」って感じだし、本人は1ミリも押し付けと考えてないのがまた窒息しそうなキモさだし、そもそも男性性との葛藤はアンタの問題なんだから自分自身で解決してくれ。

こっちくんなよ。ここに救いはないぞ。

 

あるのはセルフケアのシェアだから。

プレイリスト作って日常をいろどって自分をアゲるのは、シャネルのルージュひいて会議行くのと同じでね。戦闘態勢になり、また、同じような闘いをしてきた者たちへの労りと賛歌なんですよ。

救いがあるとしたら友達に対する、本当に尊重すること、よりそうことであってね。男が女使ってやるようなインチキ自己肯定とは月とスッポンの。で、「救済」は結果であって最初からそれを求めるものでない。インスタントに欲しがるのって他力本願すぎるしいやしくないですか?

その男と縁が切れて速攻Joan Jett削除→a new wave/Sleater Kinney追加したんだけど、縁切れた理由が、構って欲しい時や混乱して苦しい時にこっちの都合お構いなしに、狂った感情をそのままぶつけてきて理解を求めるからだった。「その態度、ガッコの友達にはやんないでしょ?」と指摘するとだんまり決め込んでた。

そりゃできれば理解ってしてもらいたいけど、女相手だとよりナマの自分を希釈せずに押し付け理解してもらおうとするのはお察し。

マッチョさと距離を取ろうとしてるような、所謂リベラル男でも、知らず知らずのうちに「男」をインストールしてるんだよ。Watch out, girl!

 

c71さんが「セルフケアには阻害されない」という記事を書いていた。

彼女の文章のファンだし、鬱になってからセルフケア(この場合は主にスキンケアの面で)を怠りがちだったからtipsとして読んだのだけど、"先日、男性は、セルフケアから疎外されているというツイートが話題になりましたが、もし、男性であることを理由に、セルフケアから疎外されているのなら、男性という言葉は病にも似ているのかもしれません。"というくだりがあった。

これを読んだのはJoan Jett事件より半年後だったけど、なるほどなと思った。

前段階として男性のセルフケアについてのnoteがあって、色々反応*3が起こったらしく、c71さんの記事もその流れにある。

 

セルフケアについて、c71さんは、いくつかの商品と使い方に係るていねいな説明を彼女の言葉で書いたあと、こう締めくくっている。

 

"女性の場合は、セルフケアを過剰に押し付けられて、「自分の機嫌は自分でとって、理不尽な目に遭っても包容力を発揮してなかったことにしろ」みたいな圧力があってセルフケアをせざるを得ないようになってる。社会の中心から疎外されているから、周縁でやってかなきゃならず、そうすると、中心から押し付けられた理不尽を消化しないといけないんだよね。そして、それを推奨されてもいる。

それと裏表の関係で、男性は男らしくないことをするなみたいな圧力があるんだよねきっと、私は男じゃないから想像の域を得ないけど。で、男らしくないことをするっていうのは、社会構造を変えなくても、心持一つでできることだから、やってみたらいいと思うよ。そうしたら男という病が軽くなるかもしれないよ。まあ、社会の中心にいる実感はないかもしれないし、俺は違うんだ中心にいないんだって思うかもしれないけど、構造の話でね。

セルフケアを、女にやってもらおう、慰めてもらおう、教えてもらおう、伝授してほしいとするのは男らしい行為だから、男の病を深めるので、セルフケアから遠ざかるよ。

女性がセルフケアがうまいとしたら、それは知識の蓄積であり、知恵であり、技術で、長い時間をかけて育てたものなので、それを収奪しようとするなら甘いよ。でも、気の毒だなーと思ったので、ちょっと記事を書いてみた"

 

最後の一文が特に、ハチャメチャに親切だし優しいよな。

 

シスターフッド狙いの男、フリーライドクソ野郎に対しては"You are abandoned(^^)/"って気持ちしかない。*4

当該プレイリストはクソみてえなリアルを生き抜くマブい四天王のために作った工夫 。だから激寒クソ野郎の侵入、ゆるせねえな? 工夫もしないでただ目の前にあるささやかな工夫の積み重ねと、それと地続きのパワーを簒奪、フリーライドしにきてんだから。

友達と私は、普段からべったりなわけでなく、それぞれが日々1人で立って頑張っていて、でも疲れた時には連帯することも優しさに甘えることも、求められればアドバイスもできる。

ここにあるパワーは、相互に与えた関係性の上に成り立つ結果であって、ハイエナされにきても困るってかきしょい。

 

私たちはインターネットミームじゃないし宗教でもないしいちいち泣いたり怒ったりする生身の人間で、セルフケアをしながら、工夫をうみだしながらなんとか生き延びてる。

セルフケアのやり方わかんないからって、全面的な存在の肯定を身近に求めるのはちがうだろ。

2020年代にもなってセカイ系やってんじゃないんだよ。

一皮むけろ、まず角質ピーリングより始めよ。

 

【3/9追記】

自分のツイートモーメントにまとめた。

✩ℂℋÅℛ✩ on Twitter: "⚡️ "シスターフッドへのフリーライドについて"

https://t.co/3tv7Wy0UjX"

 

・ホモソやマッチョイズムに適応しない/できないなら、男の中で同類探したり周りを啓蒙したりする選択肢もある。なのに自分の手は動かさない、先に周りに与えたり関係性構築の努力したりはしないで、 シスターフッドのパワー(結果)だけ見ておこぼれに預かろうとする心がいやしすぎる

シスターフッド、たいていはスペクタクル的にいきなり出現するもんじゃなくて、 平々凡々な付き合い、凡庸な友情の蓄積の内に発生する。 蓄積の結果であって、突発的に発生して物事を解決するデウスエクスマキナではない。映画やマンガ経由でしかシスターフッド認識したことない人はわかんないだろうけど。ここ勘違いして勝手に幻想持ってんのがおぞましい

 

ついでに。

ハーレイ・クインへの時代遅れな感想に対して述べたツイートものせとく。

 

 

*

open.spotify.com

 

*2 普通に勉強の一貫で歌詞調べてたら"Never said I wanted to improve my station" というフレーズが入っててゲボ。「地位の向上を望んだことなんてない」って歌詞を男から女におしつけるの、きしょすぎんだろ。Joan Jettはほんと~~~~に何も悪くないし彼女なりに考えてこの歌詞なんだろうけど、状況として吐き気ヤバコイル。

I'M GONNA IMPROVE THE WORLDしてんねんこっちは。

 

*3 このツイートとか。私もそう感じる。まあケアっていったときに趣味ってあんまり想像しにくくて、勝手にケア=女性のroleってされてるからだろなあ。

セルフケア関連において女性が優遇されてる (恵まれている、ハードルが低い) と考えるのも違うんじゃないかと思った。男がセルフケアから疎外されているとしたら、女はセルフケアに押し込まれてきたんじゃないのかな

— しろやま (@shisoyama) 2020年10月22日

 

まぁ あらゆる趣味や娯楽はセルフケアそのものなので、男性がセルフケアから疎外されてる説はぜんぜん支持しないけどね…

— しろやま (@shisoyama) 2020年10月22日

 

*4 ちなみにその男は「女になりたい」って言ってたのと同じ口で「少女漫画こそシスターフッドを描くべきなんじゃないのか」と発言していた。ホラーすぎて笑えない。単に知識不足だというならまだ…だけど、幻想と願望と欲求から生まれた発言だろうな。え、これは極端な例だって? そこいらじゅうに似たり寄ったりなのがいると思うけど。