焦げた後に湿った生活

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ストーカーや性犯罪に遭うということが全然伝わらない

(性犯罪について触れているので苦手な方は気をつけてください)

 

伝わらないし、想像もされない。

 

私はいま漫画を描くことに挑戦していて、オチは決まっているのにオチに至るまでの登場人物の会話を作るところで詰まっているんだけれど、登場人物がふたりしかいないと意外と話を深掘りできなくて進まないなと思った。

 

漫画のふたりがしている会話は、実際私が人に聞かれて昔のことを思い出したのが元ネタなんだけど、それは相手方があらたまって私のことを聞きたいという状況だったので個人的な深い会話をするのは自然だった。

その他に人から個人的な深いことを聞かれても不自然ではない状況って、例えば合コンとかの相手のプライベートな情報を聞いてもおかしくない場所じゃないとあんまりない。

複数人いるとまだ会話のかけあいで聞きやすいというのもある。前描いたやつは登場人物がどちゃどちゃ出てきて、主人公になんでお前ってそういうことするんだよとかどういう思考回路してるんだよとかいうツッコミを各場面で入れられるので、自然と回想シーンにいけた。

 

で、ふだんの会話でそういう流れるようなかけあいってなかなか発生しないし、あらたまってだれかのプライベートなことを聞きだすことってほとんどない。

 

私はそのあらたまった会話の時「なぜシェアハウス暮らしを選んでいるのか」という質問をされ、相手は一定の収入があって自分のことは自分で出来るのに一人暮らししない理由はなんなのかと聞きたかったらしく、「いや〜女性の一人暮らしは色々と危険で…」という婉曲的な表現で回答した。

 

伝わらなかった。

 

いやわかるやろ?!と思ったが、具体的にどういうことがあったのか追加質問された。

 

「ほら下着泥棒とかさ、待ち伏せとかさ、色々あるじゃん。下着泥棒はまだ室内干しにしたら回避可能だけど待ち伏せって回避不可能だし」

「それ知ってる人だったの?」

「全然知らないおじさん。京都で一人暮らししてた時、深夜バイトから帰ってきたら、深夜っていっても0時とか1時とかのすごい深夜じゃない深夜ね、自転車置き場に知らないおじさんが立ってた。なんで帰ってくる時間知ってるのかわかんないけど」

「そりゃ君のこと観察してたんだろうね」

「うわぁやめて〜。とにかくそれ以来同じことが起きるんじゃないかと思って一人暮らし嫌になった。こないだも、町田のウーバーの配達員が一人暮らしの女の人に嫌がらせする、ってニュースあったじゃん。ああいう、一人暮らしと判定された時点で詰みみたいな状況作りたくない」

待ち伏せされた時どうしたの?」

「声出なかったけど走れたから、ダッシュで大通り出た。すごい運良くて、たまたま走ってすぐの場所で警察が事故現場を調べてるところだったから助けて!って言って家まで送ってもらった。警察いなかったらコンビニまで走ってたと思う」

「女性専用マンションだった?」

「いや男の子の住人の方が多かった。ピンポイントで私だけ狙われたの謎…まあ、そういう理由で一人暮らし嫌になったんだわ」

「そりゃ君スタイルいいから目立つんだよ」

 

ちげえ、ちげえよ…

絶望的に想像されない。

 

性犯罪やストーカーにあった人のファッションには特定の傾向はない、という研究があった。

つまりどんな格好をしていても被害にあうときはあう。

私は待ち伏せにあった時ガーリーなファッションに凝っていて、ゆるい綿のワンピースとかブラウスとかをよく着ていた。身体のラインなんか全然出ないから、間違っても遠目でスタイルがいいとかわかんない。身長が高い、くらいは認識できるかもしれないが。

 

話を聞き出した相手は個人のもつ良いところが加害者の美の基準に合致して目に止まれば被害にあう可能性が高い、という感じで「納得」していたのだが、私の感覚ではもっと後ろ暗い情熱とでも言うべき何かで加害者は動いているし、電灯にむらがる羽虫のようにある意味自動的である。

 

そして、誰だって運が悪ければいつでも被害者になるのだということが伝わらない。

今回は男が聞いてきたけど別に男じゃなくて女でも絶望的に理解せず頓珍漢なことを言って「あ〜この人に説明しても無駄そ〜」となることはまあまあある。

 

「スタイルとかは関係なくて…それに、小さい頃は小さい頃で何かあったし」

「小さい子を狙うのはロリコンだろ」

ロリコンだったのかな? 最早狙えるエサならなんでもよかったんじゃないかと思うけど。

大学生くらいのニキビヅラのガキがお嬢ちゃん遊ぼうか、って声かけてきて、その時集中力が異常だったのかしらないけど時間が圧縮されて、正しい一言を返せたんだよね。奇跡的に」

「正しい一言って?」

HUNTER×HUNTERの蟻編でウェルフィンが王に対してコムギ…?ってつぶやいたのと原理は同じ」

「…?」

「まあ、その時うまいこと追い返せて、運良く無事だったんだけど、ずっとあとに何をされかけたのかというのをニュースとか見て理解してうわ、ってなった。どっちかっていうとニュースに載る方の可能性が高かったんだな、あっち側に転んでたかもしれん、と思った」

「それも運だね。運が良かった」

 

運でしかないけど、そうやって片付けられるほど割り切れてない。

幼少期の地元では、私以外にも被害にあいかけた子はいたし。たまたま母と出かけていたら知ってる子がおとなの男に声をかけられていて、私は親子なのかと思ったが母は即座にその人に「あなた何してるんですか」と話しかけた。男はすぐ逃げた。

 

(あと倫理観がガバガバなんだろうけど町内で子どもに触ったり掴んでどこかに連れていこうとしたりする人がいても精神或いは知的障害者なら見逃されていた。うまいこと無視しろみたいな運用だった。子どもの安全が子どもの機転に任されているのどうかしてると思う。

未だに幻かどうか定かではないがそいつに捕まった時ジャケットの裏に刃物が見えた気がして思い切り蹴り飛ばして逃げたことがある。以来多少嫌いでも、散歩したいとかゆっくり遊びたいとか何かする時は嫌味な幼馴染とふたりでするようにした。複数人で行動していればそいつは遠目で見てくるだけだったから。ついでに文句たれとくが私はひとりあそびの方が好きだったんじゃ)

 

これを書きながら思い出したこと、女児へのいたずらなんて俺は見たことがないから信じられない(ロリコン批判したいだけじゃないのか)というのを昔知り合いが書いていて、知り合いであるからこそ言いにくかったんだけど、「あなたが女児じゃないから見えてないだけでこういうことはふつうにあるんだよ」と実体験を話した。

 

1. どんな被害に遭うのかというのが想像できない

2. 被害にあうのは特定の傾向があると思いこんでいる

3. 自分が経験してないから無いと思ってしまう

 

私の地元は流石にめちゃくちゃだったと思うけど、それを加味してもストーカーや性犯罪に遭うって現象が伝わらない、理解されない、想像もされない、というののインパクトが大きくて、いい加減説明するのもダルくなったので、今日書いている。

 

私に好意を持って、色々考え方とか過去のこととか興味深く聞いてくれる人はうれしいんだけど、話したことを誤って解釈する前に私の話を先入観なしに聞いてくれないかなー…